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人体の機能調節や維持に不可欠なのがミネラル。微量栄養素であるこのミネラルのうち、必要不可欠となるのが16種類の必須ミネラルである。
ビタミンとミネラルの大きな違いは、ビタミンは元素が結合して作られた有機化合物なのに対して、ミネラルは元素そのものということ。ビタミンのなかには体内で合成できるものもあるが、ミネラルは元素であるため、体外から取り込むしかない。だから、日々の食生活が非常に重要になってくる。また、ミネラルの大きな特徴として、必要とする量と、身体に害を及ぼす量とが非常に近いということ。なので、食材に含まれる量を知り、適量を摂取していくことが大切である。
ミネラルの体内での仕事は大きく分けて4つある。
①体液の浸透圧やpHの調節
②神経、筋肉の正常化
③酵素の働きのサポート
④骨、血液などの構成成分
16種類の必須ミネラルをバランスよく摂ることにより、身体の機能が正常に保たれ、健康を維持することができる。ミネラルのことを良く知り、バランスよい摂取を心がけよう。
【働き/役割】リン(P/Phosphorus)
骨の主成分になる他に、広範囲の仕事をこなしている
◎1日の摂取基準量:成人男性1,050mg 成人女性900mg 上限3500mg
体内にあるミネラルで1番多いカルシウムに次いで多いのがリンである。身体の中にあるリンの約80%はカルシウムと結合してリン酸カルシウムとなり、骨や歯の主成分となっている。残りのリンは、筋肉の収縮に関与していたり、細胞の浸透圧の調整、心臓の働きや神経伝達をサポートする役割を持っているなど、とても広範囲に働いている。人には欠かすことのできないミネラルなのである。リンはインスタント食品、コンビニ弁当など、様々な食品に添加物として含まれているので、不足するということはまずない。気をつけなければならないのは過剰摂取。体内にリンが増えすぎると骨が弱くなったり、腎機能が低下してしまうので、添加物が多く入った食品は控えよう。
【働き/役割】マンガン(Mn/Manganese)
骨の形成を助けて、結合組織の合成にも関わる
◎1日の摂取基準量:成人男性4.0mg 成人女性3.5mg 上限11mg
体内に10mg程度存在しているマンガンは非常に微量なのだが、健康な身体を維持するのには欠かせないミネラルである。マンガンの働きは他のミネラルと協力し、骨の形成を助けること。そして、骨、間接の結合組織の合成にも補酵素としての役割を果たしている。また、糖質、脂質、タンパク質の代謝のために働く酵素の構成成分でもあり、エネルギーの産生にも関わっている。さらに、活性酸素を分解するスーパーオキシドジムスターゼの成分でもあり、細胞膜にある資質の酸化を防いでくれる。シンスリンや性ホルモンの分泌にも関与しているため、不足すると性機能の低下や糖尿病を引き起こす恐れがある。尚、マンガンは多くの食品に含まれているので心配する必要はない。
【働き/役割】マグネシウム(Mg/Magnesium)
カルシウム、リンとともに歯や骨の強化を促す
◎1日の摂取基準量:成人男性340~370mg 成人女性270~280mg
カルシウムやリンとともに骨や歯の強化を促しているのがマグネシウム。体内にある60%程度は骨に含まれ、残りは肝臓や血液、それと筋肉中でタンパク質と結合した形で存在している。300種類以上もある酵素の働きをサポートすると同時に、神経の興奮を抑えたり、筋肉の動きを正常に保つのもこのミネラルの仕事である。そのほか、血圧を正常にしたり、体温調節に関わるなどその働きは多岐にわたる。マグネシウムとカルシウムの割合は1対2程度がよいとされ、マグネシウム不足が続くと、動脈硬化、血圧上昇、心疾患のリスクが高まる。アルコールを多く摂取する人は不足しがち。食品では、魚介類、海藻類、種実類に豊富に含まれているので、和食を食べれば十分補える。
- 干しエビ
マグネシウムは体内で約300種類の酵素の働きを助ける働き者のミネラル。ナッツ類や干しエビなどから補給できる。 - 玄米
精白の段階で約3分の1に減ってしまうマグネシウム。便秘改善のためには玄米食にシフトしてしっかり摂りたい。 - カシューナッツ
カシューナッツなどのナッツ類はマグネシウムの宝庫。とくにアルコールを飲む人には不足しがち。酒飲みは要注意。 - アマランサス
南米原産の雑穀、アマランサスは未精製の穀物のなかでもマグネシウム含有量がダントツに多い。
【働き/役割】ナトリウム(Na/Natrium)
高血圧の大きな原因は、このミネラルの過剰摂取
◎1日の摂取基準量:成人男性10g未満 成人女性8g未満 上限8~10g
ナトリウムはカリウムとともに細胞の浸透圧を一定に保つために働いている。カリウムによってナトリウムの濃度は常に一定に保たれているのであるが、このナトリウムを過剰に摂取するとその機能が低下する(カリウム過多の状態)。こうなってしまうと、ナトリウムとともに水分まで細胞内に流れ込んでしまい、細胞は水ぶくれ状態になってしまう。これがいわゆる『むくみ』の起きるメカニズム。そして、パンパンに膨らんだ細胞によって血管が狭くなり、血管壁に大きな圧力がかかって高血圧を引き起こす。ナトリウムは血管を収縮させる役割もあるので、高血圧に拍車をかけてしまうのである。汗とともに体外へ出るナトリウムだが、現代人は過剰摂取気味であるので気をつけよう。
- ロースハム
過剰摂取に注意が必要。
【働き/役割】銅(Cu/Copper)
ヘモグロビンに関わりを持ち、不足すると貧血を起こす
◎1日の摂取基準量:成人男性0.8mg 成人女性0.7mg 上限10mg
銅は体内に100~150mgほど存在する金属元素。赤血球中のヘモグロビンという色素が鉄から作られるときに重要な役割を果たしている。つまり、鉄が体内に十分な量があったとしても、この銅がなければ貧血になってしまう。また、銅は多くの酵素の成分となり、骨や血管のコラーゲンやエラスチンといったタンパク質の合成に関与している。さらには、紫外線から身体を守るためのメラニン色素を作るときに必要なチロシナーゼという酵素の合成にも欠かせないミネラルである。体内の銅が不足すると、貧血、そして毛髪のつやがなくなり、白血球の減少、骨の異常を引き起こす。過剰に摂取したときの弊害はないといわれているが、銅製の調理器具を使用すると銅が溶け出して過剰摂取になる場合もある。
- ホタルイカ
銅を含む酵素の一部は骨や血管壁を強化するコラーゲンの生成に働く。骨粗鬆症予防にも有効。
【働き/役割】鉄(Fe/Iron)
血液中にあるヘム鉄が全身に酸素を運んでくれる
◎1日の摂取基準量:成人男性7.5mg 成人女性10.5mg 上限40~55mg
鉄は体内に1番多くある金属元素である。成人で約4gの重量にもなる。鉄もカルシウムと同様に機能鉄と貯蔵鉄に分けることができ、約60%が機能鉄で、赤血球のヘモグロビンにヘム鉄として取り込まれ、全身に酸素を運んでいる。鉄不足になると、全身に酸素が行き渡りにくくなるので眩暈、貧血、食欲不振などの状態に陥ってしまう。鉄は体内で再利用されるので、排泄される量はきわめて微量。女性は月々の生理で出血するので少し排泄量は多くなる。鉄の吸収性は悪く、約8%程度。腸内にはフェリチンという貯蔵鉄があり、これが鉄の吸収を調整しているため、必要以上に吸収されることもない。ただし、あまり過剰摂取すると肝臓に障害が生じるので注意が必要。
- シジミ
シジミ、アサリ、レバーなどに豊富な鉄。とくに女性は月経によって失われやすいので意識的に補給したい。 - レンズ豆
タンパク質やビタミンB群、鉄が豊富なレンズ豆は、野菜とともに煮込んでスープなどにすると摂りやすい。 - 豚レバー
レバーの中でも最も鉄が含まれているのが豚レバー。ここ一番の仕事のときのお助け食材だ。 - 牛もも肉
これ以上ないくらい良質なタンパク源である牛の赤身。鉄もたっぷり含まれているので、本気のアスリートには最適。 - アサリ
ウェイトを落としつつ貧血を予防したいというランナーにとってありがたい食材。手間のかからない水煮缶でも可。
【働き/役割】セレン(Se/Selenium)
活性酸素対策の最後の砦となるミネラル
◎1日の摂取基準量:成人男性30~35μg 成人女性25μg 上限350~450μg
人の身体は活性酸素による体内の酸化(身体の錆びつき)に無抵抗なわけではない。スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)やカタラーゼなどの酵素が活性酸素を分解している。しかし、それだけで全ての活性酸素が除去できるわけではなく、残った活性酸素は血中や細胞の脂質を酸化して過酸化脂質に変性させてしまう。この過酸化脂質を無害化するのがグルタチオンペルオキシターゼで、その主成分がセレンなのである。すなわち、セレンは活性酸素対策の最後の砦なのである。このセレンはビタミンEと一緒に摂取することで抗酸化作用がよりアップし、老化や癌を予防できるということでも注目されている。しかし、あまり摂り過ぎると毒性が生じるため、脱毛、下痢、嘔吐を引き起こすことがあるので注意しよう。通常の食事ならば摂り過ぎるということはない。
- イワシ
イワシは香草焼きにすると、イワシに含まれるセレンとポテトや紅花油に含まれるビタミンEがあいまって、抗酸化の働きや免疫力はより高まる。
【働き/役割】カルシウム(Ca/Calcium)
近年の食事では不足しやすい。骨のために積極的に摂ろう。
◎1日の摂取基準量:成人男性650mg 成人女性600mg 上限2,300mg
カルシウムは体内で貯蔵カルシウムと機能カルシウムに分かれる。99%が貯蔵カルシウムとして骨や歯に留まり、残りの1%が機能カルシウムとして血液中に溶け込んでいる。機能カルシウムは筋肉を動かすときに使われたり、血液凝固や精神安定のために働く。機能カルシウムが不足すると、骨にある貯蔵カルシウムが放出され、血液中のカルシウム濃度が一定に保たれる。そのため、カルシウム不足が続くと、骨のカルシウムが減り、骨軟化症や骨粗鬆症を引き起こしてしまうのである。カルシウムは腸で吸収されるが、100%吸収されるわけではなく、食品によって吸収率は異なる。牛乳で50%、小魚で30%、緑黄色野菜で20%程度である。近年の食事はカルシウム不足の傾向なので、積極的に摂ろう。
- 干しイワシ
骨ごとバリバリ食べられる丸干しのイワシは、カルシウムの宝庫。ストレス時の晩酌のお供に。 - 納豆
大豆製品はカルシウムとマグネシウムをバランスよく含む食材。とくに納豆には胃腸の働きを助ける酵素も豊富。 - ヒジキ
海藻類の中では抜群にカルシウムの含有量が高いヒジキ。食物繊維も豊富なので、ダイエット時は常備食としたい。 - 小魚
カルシウム補給のために、魚はできれば頭から尻尾まで食べたい。その点、シシャモは優良食材。 - イワシみりん干し
骨ごとバリバリ食べられる、カルシウムたっぷりのイワシのみりん干し。酒のつまみばかりでなく、おやつ代わりに。 - 木綿豆腐
筋肉の痙攣を予防するカルシウムが豊富な食材、木綿豆腐。ヘルシーなタンパク源でもある。
【働き/役割】カリウム(K/Kalium)
ナトリウムを排泄させ、細胞の浸透圧を調節する
◎1日の摂取基準量:成人男性2,000mg 成人女性1,600mg
体液の主要成分であるカリウムとナトリウム。カリウムは細胞外で、ナトリウムは細胞内で、それぞれ一定の濃度を保つことで細胞の浸透圧を維持している。カリウムの働きはナトリウム量の調整。細胞内のナトリウム濃度が上がると、水分とともに細胞の外へ出す。そして、腎臓で再吸収されるのを防ぎ、尿として排泄させるのである。また、細胞内の酵素反応を調節する役割を持ち、筋肉でのエネルギー作りにも貢献している。カリウムが不足すると体内のナトリウム量が増えて、高血圧を引き起こしてしまう。さらに、筋肉でのエネルギー供給が破綻し、筋力が低下したり、痙攣を起こしたりもする。カリウムは汗とともに体外へ出てしまうので、夏場に運動するときは注意が必要。
- 昆布
昆布はカリウムが豊富な食材。調理用の出汁の素として、また加熱調理で失われやすいので、刻んでそのまま食してもよい。 - トマトジュース
トマトジュースに含まれるカリウムには、筋肉の収縮をスムーズにする役割が。朝一杯の習慣に。
【働き/役割】亜鉛(Zn/Zinc)
新陳代謝を促し、生殖機能にも関与する
◎1日の摂取基準量:成人男性9mg 成人女性7mg 上限30mg
鉄に次いで体内に多く蓄えられているのが、この亜鉛。全身に分布していて、合計で2~4gほどになる。亜鉛の働きは実に多彩。第一に細胞の新生を活発にして新陳代謝を促進させる。次に骨や皮膚の発育を促し、免疫力を高めてくれる。そして、この亜鉛は生殖機能とも関連が深い。女性ホルモンの分泌を活性化させたり、男性であれば精子の生成に欠かせない金属元素なのである。また、舌にある味を感じる味蕾という細胞の形成にも亜鉛は深く関わっている。偏食や加工食品ばかりの食事を摂っていると、亜鉛不足になる。その結果、貧血や味覚障害、皮膚炎などが引き起こされる。また、成長期の子供は成長障害になる場合もある。但し、一度に大量摂取(2g以上)すると中毒になる恐れもあるので注意が必要。
- スルメ
亜鉛はビタミンAの代謝、コレーゲンの生成に必須。これを豊富に含むスルメはダイエットに有効な低カロリー食材。 - 岩ガキ
欠乏状態が続くと、脳の情報伝達が損なわれ、記憶力や学習能力の低下が見られる亜鉛。夏場は岩ガキなどから摂取しよう。
